男子第4期生 活動の記録
 平成18年度男子第4期生(2006年 3月〜11月)の9ヶ月にわたる活動の記録をまとめてみました。

仲間と暮らした9ヶ月間の思い出をふりかえりながら、3シーズンに分けた全18ステージをご覧ください。
■ 第1シーズン
 第1ステージ〜第6ステージ (3/17〜6/4)
 「はじめまして!」各チームでメンバー紹介を行いました。塾舎いっぱいに大きな声が響き渡ります。これで、全員の名前を知ることができましたね。
 少し緊張しながらも、これから始まる塾生活。さあ、みんな。楽しんでいきましょう!!
 塾舎周辺の自然や、塾舎のあるこの河内町に何があるのかを知ろうということで、チームみんなで探索に出かけました。塾近くの大山祗神社のケヤキとイチョウの樹齢は推定270年です。自分よりも大きい木々を前に、ただただ感心するのみ。
 チームの仲間と知恵を絞り、チェックポイントやフィールドビンゴの問題を解いていきました。初めての野外プログラムだけあり、どこに何があるのかを仲間と相談しながら探索しました。
 消火器を使った消火訓練。実際に灯油を張ったパンに火をつけて、実際に消火をしました。風もあったせいか、煙と炎の勢いも強く、実際の火災では、命を落とす怖さも少し感じてくれていたようです。 
 第2ステージでは味噌作りに挑戦しました。日本で昔から作られてきた発酵食品作りを実際に体験し、味わってみようというものです。まず、指で簡単につぶれるくらいに茹でた大豆を、チーム全員で臼を使ってすり潰していきます。上手につぶすには、仲間との呼吸が大切で、リズミカルに潰していかないと、杵で指を挟んだり、大豆がよく潰れなかったりと散々な結果となってしまいます。そして、ペースト状になるまですり潰したら米麹を入れて手で混ぜ合わせていきます。最後は、かめに入れて半年ほど待てば、おいしいお味噌のできあがり!
 いよいよ、チーム農園作付け計画の発表です。次回ステージからは、待ちに待ったチーム農園がスタートします。その前に、他のチームのメンバーやスタッフにどんな畑にしていくのか、プランを一生懸命にプレゼンテーションしてもらいました。
 各チームとも、自分たちなりの作付けを考えてきており、その後の質問タイムでは、お互いに分からないところを尋ねあって、足りないところや説明不足な点を聞き合っていました。
 地元のボランティアの方の指導を交えて竹の子掘りにチャレンジ!巨大な孟宗竹の竹林からは、いたるところに竹の子が生えています。
 そろそろ誘引が必要な時期にさしかかってきたころ、縄結びの仕方を学びました。誘引をする際に使う「男結び」を練習中の塾生たち。その顔は真剣そのものです。
 6月の田植えに向けて、種もみの選別、消毒を行いました。この種もみから、いつもの食卓でいただくあのお米ができるのです。植えてから、食卓に上るまで、いったいどれくらいの時間と手間がかかるのでしょうか?
 これから、塾生みんなが育てていくのです。
お米の一生を、是非その目で確かめていってください。
 杓子ヶ峰登山。あのきれいな朝日を見るために、朝早くから起きて、杓子ヶ峰を目指し出発しました。
 しかし、残念なことに空はあいにくの曇り空で、朝日を見ることはできませんでした。
 鳥の声、風の音、遠くから聞こえる車の音。自分のまわり360°四方から色々な音が聞こえてきます。しばし、この静かな時間を楽しんだのでした。
 日頃、お世話になっている自然塾周辺をきれいにしようと河内ダム周辺にて、清掃ボランティア活動を実施。落ち葉や、植え込みの除草、不燃物、可燃物の収集を行い、30分程度の時間でしたがゴミ袋がいっぱいになりました。
 特に人間が作り出したものは、なかなか土に戻らないものがほとんどで、それが山を汚したり、水が汚くなったり、挙句の果てには山や川に棲む生き物たちの生活を脅かす存在となるのです。一人一人の意識が大切であることを学んだ時間となりました。これからも清掃した時の気持ちを大切に持ち続けてほしいと願います。
 シイタケの菌打ちにチャレンジ。電気ドリルを使って等間隔に穴を開けていきます。まわりの力を借りて、一つ一つを丁寧に開けていきます。
 静けさの中で、自分自身の気持ちを落ち着かせる坐禅会。自然塾近くのお寺、萬歳寺(臨済宗)で毎年恒例に行っているプログラムです。
 最初に和尚さんのありがたい法話をいただき、その後に坐禅を実施。
 一人ずつに警策を当てていただき、背筋がピンと伸びるような緊張感を味わいました。
 田の代かきを兼ねた、自然塾名物「どろリンピック」の開催です!綱引き、騎馬戦、ドロスキーレース、二人三脚。みんな泥と一体化したプログラムでした。男子全員一生懸命チームのために戦う姿は本当にたくましく、見ていて気持ちのいいものでした。優勝チームには、その日の夕食(焼肉)の大盛りチケット、紅白で勝ったチームには、おやつ増量券が賞品として渡されました。 楽しい時間でしたね。
 前日にみんなで暴れまわった田んぼは、きれいに平らにされ、いよいよ田植えスタートです。全員横一列になって同じリズムで苗を植えていきます。コツが掴めてくるようになると、次第にスピードも増して、スムーズに植えられるようになりました。秋には、おいしい米が食べられるように五穀豊穣を願って、一つ一つ丁寧に植えていきます。ホカホカのごはんが食べられますように。
■ 第2シーズン
 第7ステージ〜第12ステージ(6/16〜9/17)
 ジャガイモを使ってコロッケとポテトサラダ作りに挑戦。収穫の喜びをみんなで分かち合うため、エプロンと三角巾を装着して取り掛かりました。釜飯炊きで身に付けた火おこしで順調に作っていく塾生たち。いろいろな形をしたコロッケが出来上がりました。
天然の光を放つ何とも不思議なホタル。川の周辺を飛び回り、大きなクリスマスツリーが並んでいるような幻想的な光景でした。ホタルをはじめて見る塾生が多く、みんな大喜びでした。ホタルを捕まえようと必死で頑張りましたが、なかなか捕まりません。この写真はその時捕まえたゲンジボタルのオスです。みんなで観察して、最後は川に離してかえしました。 
 
 自然塾のすぐそばを流れる大木川。ここには、一体どんな生物が生息しているのか調べてみようということで、ボランティアの久保さんにガイドをしてもらいながら、網を片手に川登りをしました。ハヤやヤゴといった小魚や水生生物を捕まえる事ができ、生態をみんなで知ることができました。また、環境問題にも触れ、豊かな緑があって、きれいな水やそこに住む生物が存在してはじめて自然のバランスが取れるのだということも学びました。
 6月に植えた稲は順調に育っており、株間には、雑草が生えてくるようになりました。水田の土中に酸素をたくさん混入するのと除草を兼ねた、田の草まぜを行いました。昔ながらの「田押し車」も登場し、自分たちの手でひとつひとつ丁寧に世話をしてきました。
 第10ステージは、親子大会。日頃の塾生活を保護者の方々にも見ていただこうと、農作業や塾活動に参加していただきました。また、チーム農園の途中経過も塾生に発表してもらい、自分たちで丹精込めて作った野菜を見せながらプレゼンテーション。少々緊張しながらも、自分たちの自慢の畑を一生懸命に紹介している姿が印象的でした。
 午後からは夕食作り。スタッフも親も一切手助けをせずに、自分たちだけでカレー作りに挑戦しました。
 夏の名物プログラム「肝だめし」近くの大山祗神社から坐禅でお世話になった萬歳寺までのコースを3人一組で、ゴール目指して歩いていきます。手にする明かりは提灯一つ。火が消えてしまえば、真っ暗闇を仲間と歩いていかなければなりません。草陰から怪しげなうめき声が聞こえたり、墓場から突然お化けが出てきたり。普段静かな山間に、塾生の悲鳴だけがこだましているのでした・・・。
■ 第3シーズン
 第13ステージ〜第18ステージ(9/29〜11/26)
 昔の人たちは、ワラでも、野菜の切れ端でも、知恵を絞って、生活に役に立てられるように、道具を編み出したり、堆肥にしてまた翌年の肥料に還元したりと自然に優しい試みを数多く生み出してきました。
 縄綯いもそのひとつ。縄を作ることで、わらじを作ったり、むしろを編んだりと生活に欠かせないものを作ってきました。コツを掴むまで時間はかかりますが、慣れてしまえばこちらのもの。最長12mを超えるまで編んだ塾生もいたほどでした。
 
 「米一粒は、汗一粒」。5月から大事に育ててきた稲は、見事に稲穂をつけ、収穫の時を迎えました。水の管理から田の草まぜ、追肥等、「米」という字の通り、八十八もの手間隙をかけて育ててきたかいがありました。
 自然塾名物「九千部山(848m)登山」。チームの仲間と協力して九千部山の頂上を目指します。途中休憩で立ち寄った萬歳寺分岐(通称りんご峠)では、おやつのりんごを丸かじり。それまで急な坂を登り続けてきた体に水分と栄養を補給します。なぜか、このリンゴ峠でリンゴを食べると、不思議と元気が出てくるのです。
 2週間掛け干しした稲は、いよいよ脱穀して更に乾燥させ、精米へと進んでいきます。昔の道具(千歯こぎ、足踏み脱穀機)を使って、稲穂を外していきます。それを唐箕(とうみ)にかけて、良いもみと悪いもみに分けていきます。最後に現代の機械コンバイン(稲刈り、脱穀、選別)を使って昔の人々が知恵を絞って編み出してきた道具の移り変わりも学ぶことができました。
地元鳥栖市から講師の方を招いての野鳥の観察。レンズを通して見える鳥の生態はとても面白いものでした。
 最後のステージでは、餅つきをしました。女子塾生が育てたもち米(ヒヨクモチ)を使って、力を合わせて餅をつきます。力いっぱいついた餅は、とてもやわらかく、お昼ではきなこもち、あんこもち、大根おろしの辛みもちにして、みんなで食べました。最後のステージにふさわしく、めでたいプログラムとなりました。
 9ヶ月間お世話になったチーム農園とも、このステージでお別れ。本当に色々な野菜達を作ってきました。この畑を通して、仲間のことや、命のこと、これから生きていく上で大切なことを大地から学びました。きっと大人になった時に、ここで学んだ体験が、生きてくると思っています。畑に感謝。そして大地に感謝ですね。
 
 みんなが過ごした9ヶ月間の思い出は、今もその胸に焼き付いています。9ヶ月間本当にありがとう!