男子第3期生 活動の記録
 平成17年度男子第3期生(2005年 3月〜11月)の9ヶ月にわたる活動の記録をまとめてみました。

仲間と暮らした9ヶ月間の思い出をふりかえりながら、3シーズンに分けた全18ステージをご覧ください。
■ 第1シーズン
 第1ステージ〜第6ステージ (3/18〜6/5)

「おはようございます!!」

私は誰でしょう??
「はじめまして!」各チームでメンバー紹介を行い、その後、鳥栖市に向かって大声で自己紹介
「こんにちはー!!」大きな挨拶が、自然塾の周辺にこだまします。お腹から声をだして挨拶をする。そう、もう塾生活は始まっているのです!
 さあ、みんな。楽しんでいきましょう!!
シイタケの菌打ちにチャレンジ。電気ドリルを使って等間隔に穴を開けていきます。早くて、2006年の秋ぐらいに収穫できるようです。まわりの力を借りて、一つ一つを丁寧に開けていきます。

でっかいよー!
塾舎周辺の自然や、塾舎のあるこの河内町に何があるのかを知ろうということで、チームみんなで探索に出かけました。塾近くの大山祗神社では、樹齢が200年を超えるイチョウの木がありました。自分よりも大きい木を前に、ただただ感心するのみ。仲間と楽しみながら歩いてみました。
 地元のボランティアの方の指導を交えて竹の子掘りにチャレンジ!巨大な孟宗竹の竹林からは、いたるところに竹の子が生えています。
なかなか抜けんばい!!

集中、集中。
キュウリの接木にチャレンジ。カミソリを使って台木のカボチャに、穂木のキュウリを接ぎます。

 手先の微妙な角度で、切り落としてしまったり、上手く接ぐことができなかったりと、気を抜く事ができません。忍耐と集中力を要する作業です。
 いよいよ、チーム農園作付け計画の発表です。次回ステージからは、待ちに待ったチーム農園がスタートします。その前に、他のチームのメンバーやスタッフにどんな畑にしていくのか、プランを一生懸命にプレゼンテーションしてもらいました。

 みんな、真剣です!

水稲塩水選&温湯消毒
 5月の田植えに向けて、種もみの選別、消毒を行いました。この種もみから、いつもの食卓でいただくあのお米ができるのです。植えてから、食卓に上るまで、いったいどれくらいの時間と手間がかかるのでしょうか?

 これから、塾生みんなが育てていくのです。
お米の一生を、是非その目で確かめていってください。
 昔の人たちは、ワラでも、野菜の切れ端でも、知恵を絞って、生活に役に立てられるように、道具を編み出したり、堆肥にしてまた翌年の肥料に還元したりと自然に優しい試みを数多く生み出してきました。
 縄綯いもそのひとつ。縄を作ることで、わらじを作ったり、むしろを編んだりと生活に欠かせないものを作ってきました。コツを掴むまで時間はかかりますが、慣れてしまえばこちらのもの。最長12mを超えるまで編んだ塾生もいたほどでした。
 静けさの中で、自分自身の気持ちを落ち着かせる坐禅会。自然塾近くのお寺、萬歳寺(臨済宗)で毎年恒例に行っているプログラムです。
 最初に和尚さんのありがたい法話をいただき、その後に坐禅を実施。
 一人ずつに警策を当てていただき、背筋がピンと伸びるような緊張感を味わいました。
 早朝杓子ヶ峰登山。あのきれいな朝日を見るために、塾生全員朝の3時30分起床。
眠い目をこすりながら山に向かい、朝日が登ると同時に、そのきれいな朝焼けに塾生一同東の空に注目。「きれいだなあ。初めて見たよ、朝日」などと、異口同音に声を揃えて感想を述べていました。
 自然の本物の美しさの前では、言葉を失うぐらいの感動があるのかもしれません。
 夏野菜が順調に生長をしてきました。そろそろ誘引が必要な時期にさしかかってきたころ、塾生みんな中庭に出て、縄結びの練習です。誘引をする際に使う「男結び」を練習中の塾生諸君。

 その顔は真剣そのものです。
 自然塾で使用する食材以外にも、調味料も作れるものは、自分達の手で作ります。

 味噌作りもその一つ。薬指と親指でつぶれるぐらいのやわらかさに煮た大豆を、撫で杵でペースト状に潰し、塩きり麹(米)と合わせます。
 みんなで取り掛かるので、その作業も早い早い。
最後は、かめに入れて半年ほど待てば、おいしいお味噌のできあがり!

等間隔に定植していきます。

いっぱいとれた!
 共同農園の野菜たちも順調に種類が増えています。サツマイモの芋挿し、第2期生が定植してくれたタマネギの収穫。畑からの恵みを全身で受けながら日々大地と格闘している塾生たち。次第に笑顔や、思ったことを口にするようになってきたのもこのころからでしょうか。野菜共々、塾生諸君の成長も楽しみになってきました。
■ 第2シーズン
 第7ステージ〜第12ステージ(6/17〜9/4)

せーの!せーの!

いざ!勝負!

うわー、泥まみれになってしまったよ!
 田の代かきを兼ねた、自然塾名物「どろリンピック」の開催です!綱引き、騎馬戦、ドロスキーレース、二人三脚。みんな泥と一体化したプログラムでした。男子全員一生懸命チームのために戦う姿は本当にたくましく、見ていて気持ちのいいものでした。優勝チームには、その日の夕食(焼肉)の大盛りチケット、紅白で勝ったチームには、おやつ増量券が賞品として渡されました。
 楽しい時間でしたね。

コツが分かってきたばい!

あたた・・・、腰が痛い。
 前日にみんなで暴れまわった田んぼは、きれいに平らにされ、いよいよ田植えスタートです。全員横一列になって同じリズムで苗を植えていきます。コツが掴めてくるようになると、次第にスピードも増して、スムーズに植えられるようになりました。秋には、おいしい米が食べられるように五穀豊穣を願って、一つ一つ丁寧に植えていきます。ホカホカのごはんが食べられますように。

うわわ・・・、何かおるっちゃないと?

いやー!でたあー!
 夏の名物プログラム「肝だめし」近くの大山祗神社から坐禅でお世話になった萬歳寺までのコースを2,3人一組で、ゴール目指して歩いていきます。手にする明かりは提灯一つ。火が消えてしまえば、真っ暗闇を仲間と歩いていかなければなりません。草陰から怪しげなうめき声が聞こえたり、墓場から突然お化けが出てきたり。普段静かな山間に、塾生の悲鳴だけがこだましているのでした・・・。
 自然塾のすぐそばを流れる大木川(だいぎがわ)。ここには、一体どんな生物が生息しているのか調べてみようということで、ボランティアの久保さんにガイドをしてもらいながら、網を片手に川登りをしました。ハヤやヤゴといった小魚や水生生物を捕まえる事ができ、生態をみんなで知ることができました。また、環境問題にも触れ、豊かな緑があって、きれいな水やそこに住む生物が存在してはじめて自然のバランスが取れるのだということも学びました。

コロッケできたー!!
午前中に収穫したジャガイモを使ってコロッケ作りにチャレンジ。収穫の喜びをみんなで分かち合うため、エプロンと三角巾を装着して取り掛かりました。各チームごとに使用するジャガイモが異なり、「インカのめざめ」、「キッズパープル」、「男爵」、「メークイン」を使って、ユニークな形のコロッケができあがりました。
 おいしいコロッケ、作ってくださいよー!
 5月に植えた稲(天使の詩)は順調に育っており、株間には、雑草が生えてくるようになりました。水田の土中に酸素をたくさん混入するのと除草を兼ねた、田の草まぜを行いました。昔ながらの「田押し車」も登場し、自分たちの手でひとつひとつ丁寧に世話をしてきました。
意外に難しいな。前に進まないよー。

自然塾で収穫したスイカ

おいしく実ったトマト&ミニトマト

うまい!!トマト最高!!
 初夏、春に植えた夏野菜たちが、収穫の時を迎えるようになりました。スイカにトマト、ナスにピーマン。お日様の恵みをいっぱいに受けた野菜たちは、果肉もいっぱい詰まって栄養満点。

 さっそく、みんなで試食してみました。
第10ステージは、親子大会。日頃の塾生活を保護者の方々にも見ていただこうと、農作業や塾活動に参加していただきました。また、チーム農園の途中経過も塾生に発表してもらい、自分たちで丹精込めて作った野菜を見せながらプレゼンテーション。少々緊張しながらも、自分たちの自慢の畑を一生懸命に紹介している姿が印象的でした。
お父さんお母さんも一緒に太極拳!

あちちち!!腕が焼けるー!!

やっぱりみんなでごはんはいいな。

一粒一粒丁寧に播いていかんばよ!

播種後30日経過
 共同農園作業は、蕎麦の播種。自然塾からあるいて20分ほど登ったところに畑があり、秋には蕎麦をみんなで食べようという試みで播種をしました。大きく育ってくれるとうれしいな。

間伐そりレース

「与作の早ぐっちょ(丸太早切り)」
自然塾近くの河内ダムで、「森林フェスタin河内」に塾生みんなで参加しました。間伐材を使用した競技に参加し、みんなで大いに楽しみました。「与作の早ぐっちょ」「間伐そりレース」など色々な競技があり、日頃鍛えた農作業やチームプレーを駆使して臨みました。

 競技終了後は、主催者側からカレーライス1000食が参加者全員にふるまわれ、みんなでおいしくいただきました。

がんばった後のカレーは美味いなあ!
■ 第3シーズン
 第13ステージ〜第18ステージ(9/16〜11/27)

おーい、こっちに持ってきてくれ!

何で自然の中に、捨てるんやろう?
 日頃、お世話になっている自然塾周辺をきれいにしようと河内ダム周辺にて、清掃ボランティア活動を実施。40分ほどの活動時間でしたが、空き缶をはじめとする不燃物、弁当のカラや雑誌などがたくさん集められました。また、一見ダムの周辺もきれいに見えましたが、ダム湖半の端に空き缶や傘が捨てられていたり、塾生も拾いながら「何でこんなところに捨てるのか分からない」と異口同音に言葉にし、ふりかえりの際には目の前に集められたごみを目の当たりにしてただただ残念な様子でした。美しい自然を守ることは、そのまま地球の環境を守ることにもつながります。清掃した時の気持ちをこれからも大切に持ち続けてほしいと願います。

命の灯が消えるまで、しっかりと見守ります

手羽先やもも肉に解体していきます
 第14ステージでは、農業の最終章「ニワトリの解体」を行いました。私たちは、普段当たり前のように肉や魚、野菜を食べていますが、人間は、他の動物の命を頂くことでしか、生きていく事ができない動物です。いつも私たちが美味しく食べている鶏の唐揚げでもご飯でも、サラダでも、元は土によって命を育まれ、子孫を残すために一生懸命に生きてきた動植物。
 人間も動物である以上、生きていくためには、他の生き物の命を頂かないと生きていくことはできません。
 残さずきちんといただく。食事の前後に手を合わせて、「いただきます」「ごちそうさま」をする。鶏の死が教えてくれたものは、命に対する畏敬の念と食べ物に対する感謝の心でした。
 これからも、食べ物を残さないように最後まで食べよう。そして感謝の気持ちをもって言おう。
「いただきます」と「おごちそうさま」を。

その日の夕食は「鶏のからあげ」
全員残さず完食しました。
ニワトリに感謝。ごちそうさまでした。

佐賀野鳥の会のみなさん

おお!あの鳥は何だろう?
 地元鳥栖市から講師の方を招いての野鳥の観察。前の日に、どんな鳥がいるのかを詳しく教えてもらい、翌日双眼鏡をもって森へ行ってみました。アオサギ、ヤマガラなど、レンズを通して見える鳥の生態はとても面白いものでした。

鋸鎌を使って、稲刈り

結束した後掛け干し
 「米一粒は、汗一粒」。5月から大事に育ててきた稲は、見事に稲穂をつけ、収穫の時を迎えました。水の管理から田の草まぜ、追肥等、「米」という字の通り、八十八もの手間隙をかけて育ててきたかいがありました。

 「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」

足元、気をつけろ!

うまいぞ!リンゴ!
 自然塾名物「九千部山(848m)登山」。チームの仲間と協力して九千部山の頂上を目指します。途中休憩で立ち寄った万歳寺分岐(通称りんご峠)では、おやつのりんごを丸かじり。それまで急な坂を登り続けてきた体に水分と栄養を補給します。なぜか、このリンゴ峠でリンゴを食べると、不思議と元気が出てくるのです。
 2週間掛け干しした稲は、いよいよ脱穀して更に乾燥させ、精米へと進んでいきます。昔の道具(千歯こぎ、足踏み脱穀機)を使って、稲穂を外していきます。それを唐箕(とうみ)にかけて、良いもみと悪いもみに分けていきます。最後に現代の機械コンバイン(稲刈り、脱穀、選別)を使って昔の人々が知恵を絞って編み出してきた道具の移り変わりも学ぶことができました。

サツマイモ、いっぱい収穫できたよ

ヤキイモの準備万全です
 
 秋の味覚、サツマイモ掘り。鍬を使って掘るのですが、これもなかなかコツがいります。間違えると、芋を鍬で傷つけてしまうので、下のほうから丁寧に掘り上げます。
 掘った芋は、早速焼きいもに。

 中は甘くてホクホク。最高のおやつとなりました。

おいしく焼けたかな?

しっかりついてやー!!

きれいに丸めんば!
 最後のステージでは、餅つきをしました。女子塾生が育てたもち米(ヒヨクモチ)を使って、力を合わせて餅をつきます。力いっぱいついた餅は、とてもやわらかく、お昼ではきなこもち、あんこもち、大根おろしの辛みもちにして、みんなで食べました。最後のステージにふさわしく、めでたいプログラムとなりました。
 9ヶ月間お世話になったチーム農園とも、このステージでお別れ。本当に色々な野菜達を作ってきました。この畑を通して、仲間のことや、命のこと、これから生きていく上で大切なことを大地から学びました。きっと大人になった時に、ここで学んだ体験が、生きてくると思っています。畑に感謝。そして大地に感謝ですね。
 卒塾式のリハーサル。一人一人が言うふりかえりの言葉と歌の練習など、最後の確認をしています。
みんな思い思いの言葉を口にしながら、これまでの活動を振り返っているようでした。
次回、仲間と会うのは2週間後の卒塾式。
それまで、お互いに元気な姿で会おう!!
18ステージ最後の夜は、それぞれのチームで語り合いながら就寝しました。地域も年齢も違う仲間が、この自然塾で出会い、寝食をともにしながらお互いが成長していった9ヶ月。思い出を上げればきりがないけれど、心の中にはいつも仲間の笑顔がありました。卒塾しても、仲間、自然、そして塾での思い出を大切に、一人一人の活躍を祈っています。
 9ヶ月間本当にありがとう!