男子第5期生 活動の記録
 平成19年度男子第5期生(2007年 3月〜11月)の9ヶ月にわたる活動の記録をまとめてみました。

仲間と暮らした9ヶ月間の思い出をふりかえりながら、3シーズンに分けた全18ステージをご覧ください。
■ 第1シーズン
 第1ステージ〜第6ステージ (3/16〜6/3)
 さあ、チームみんなでの初めての共同作業。各チーム1列になりスタッフの指示通りに動く簡単なゲームをしました。「右!」「左!」「後!」とチームで声をかけながら、スタッフの指示に従い列を崩さないように移動していきます。しかし、なかなかうまくいかず列が崩れますが、みんなの顔からは自然と笑顔がこぼれてきます。徐々に難しくなっていきますが、塾生達も負けじと協力し合いチームが一つになっていきました。
 少し緊張しながらも、これから始まる塾生活。さあ、みんな。楽しんでいきましょう!!
 塾舎周辺の自然や、塾舎のあるこの河内町に何があるのかを知ろうということで、チームみんなで探索に出かけました。塾近くの大山祗神社のケヤキとイチョウの樹齢は推定270年です。自分よりも大きい木々を前に、ただただ感心するのみ。
 チームの仲間と知恵を絞り、チェックポイントやフィールドビンゴの問題を解いていきました。初めての野外プログラムだけあり、どこに何があるのかを仲間と相談しながら探索しました。
 消火器を使った消火訓練。実際に灯油を張ったパンに火をつけて、実際に消火をしました。風もあったせいか、煙と炎の勢いも強く、実際の火災では、命を落とす怖さも少し感じてくれていたようです。 
 第2ステージでは味噌作りに挑戦しました。日本で昔から作られてきた発酵食品作りを実際に体験し、味わってみようというものです。まず、指で簡単につぶれるくらいに茹でた大豆を、チーム全員で臼を使ってすり潰していきます。上手につぶすには、仲間との呼吸が大切で、リズミカルに潰していかないと、杵で指を挟んだり、大豆がよく潰れなかったりと散々な結果となってしまいます。そして、ペースト状になるまですり潰したら米麹を入れて手で混ぜ合わせていきます。最後は、かめに入れて半年ほど待てば、おいしいお味噌のできあがり!
 地元のボランティアの方の指導を交えて竹の子掘りにチャレンジ!巨大な孟宗竹の竹林からは、いたるところに竹の子が生えています。 少しだけ顔を出した竹の子を足で探りながら真剣に見つけていましたね!見つけた後も竹の子を傷つけたり折ったりしないように慎重にスコップで土を掘っていきました。苦労して採れた竹の子を手にしたときの感動は忘れられません。
 いよいよ、チーム農園作付け計画の発表です。次回ステージからは、待ちに待ったチーム農園がスタートします。その前に、他のチームのメンバーやスタッフにどんな畑にしていくのか、計画を一生懸命に発表してもらいました。
 各チームとも、自分たちなりの作付けを考えてきており、その後の質問タイムでは、お互いに分からないところを尋ねあって、足りないところや説明不足な点を聞き合っていました。
 そろそろ誘引が必要な時期にさしかかってきたころ、縄結びの仕方を学びました。誘引をする際に使う「男結び」を練習中の塾生たち。その顔は真剣そのものです。
 箸作りもしました。なたやナイフといった刃物を扱うために慎重に行っていきます。まず、なたで竹を細く割り、割った竹を今度はナイフで削っていき、箸の形へとしていきます。細くなったり、太くなってしまったり、それぞれ個性的な箸を作っていました。
 昔の人たちは、ワラでも、野菜の切れ端でも、知恵を絞って、生活の役に立てられるように、道具を編み出したり、堆肥にしてまた翌年の肥料に還元したりと自然に優しい試みを数多く生み出してきました。
 縄綯いもそのひとつ。縄を作ることで、わらじを作ったり、むしろを編んだりと生活に欠かせないものを作ってきました。初めは悪戦苦闘していましたが、すぐにコツを掴みスムーズにできていました。
 静けさの中で、自分自身の気持ちを落ち着かせる坐禅会。自然塾近くのお寺、萬歳寺(臨済宗)で毎年恒例に行っているプログラムです。
 最初に和尚さんのありがたい法話をいただき、その後に坐禅を実施。
 一人ずつに警策を当てていただき、背筋がピンと伸びるような緊張感を味わいました。

塩水選
 
温湯消毒

播種 
 6月の田植えに向けて、種もみの選別、消毒、播種を行いました。この種もみから、いつもの食卓でいただくあのお米ができるのです。植えてから、食卓に上るまで、いったいどれくらいの時間と手間がかかるのでしょうか?これから、塾生みんなが育てていくのです。お米の一生を、是非その目で確かめていってください。
 天然の光を放つ何とも不思議なホタル。川の周辺を飛び回る姿は、幻想的な光景でした。ホタルをはじめて見る塾生が多く、みんな大喜びでした。ホタルを捕まえようと必死で頑張りましたが、なかなか捕まりません。蛍がいるのは川がきれいな証拠です。これからも、蛍の光が絶えることのないように川や、環境を守っていきたいですね。
 自然塾のすぐそばを流れる大木川。ここには、一体どんな生物が生息しているのか調べてみようということで、ボランティアの久保さんにガイドをしてもらいながら、網を片手に川登りをしました。ハヤやヤゴといった小魚や水生生物を捕まえる事ができ、生態をみんなで知ることができました。また、環境問題にも触れ、豊かな緑があって、きれいな水やそこに住む生物が存在してはじめて自然のバランスが取れるのだということも学びました。天気があまり良くなく寒かったですが、水辺の生き物を探しながらも、わざとこけてみたり、自ら水につかったりと川遊びを楽しんでいました。
■ 第2シーズン
 第7ステージ〜第12ステージ(6/15〜9/2)
 田の代かきを兼ねた、自然塾名物「泥んこ運動会」の開催です!綱引き、騎馬戦、ドロスキーレース、二人三脚。みんな泥と一体化したプログラムでした。男子全員一生懸命チームのために戦う姿は本当にたくましく、見ていて気持ちのいいものでした。優勝チームには、その日の夕食(焼肉)の大盛りチケット、紅白で勝ったチームには、おやつ増量券が賞品として渡されました。 楽しい時間でしたね。
 前日にみんなで暴れまわった田んぼは、きれいに平らにされ、いよいよ田植えスタートです。全員横一列になって同じリズムで苗を植えていきます。初めは泥に足を取られフラフラしていましたが、コツが掴めてくるようになると、次第にスピードも増して、スムーズに植えられるようになりました。秋には、おいしい米が食べられるように願いながら、一つ一つ丁寧に植えていきました。
 第8ステージでは感謝祭がありました。みんなが大切に育ててきた野菜を前に、もう一度命について考えました。この野菜たちにも命があること、その命を頂いて我々は生きているということ。命あるものを粗末に扱ったり、好き嫌いをしていませんでしたか?この野菜たちもみんなに食べられるために育っているのではありません。もう一度考え直し、感謝の心を忘れず、行動に現わしてください。
   ジャガイモを使ってコロッケとポテトサラダ作りに挑戦。収穫の喜びをみんなで分かち合うため、エプロンと三角巾を装着して取り掛かりました。使い慣れない包丁で野菜を切っていきます。おぼつかない手つきで野菜を切る姿はみている方がハラハラしました。どのチームも上手に出来上がり、美味しく頂きました。
 第10ステージは、親子大会。日頃の塾生活を保護者の方々にも見ていただこうと、農作業や塾活動に参加していただきました。また、チーム農園の途中経過も塾生に発表してもらい、自分たちで丹精込めて作った野菜を見せながら発表していきました。少々緊張しながらも、自分たちの自慢の畑を一生懸命に紹介している姿が印象的でした。
 午後からは夕食作り。スタッフも親も一切手助けをせずに、自分たちだけでカレー作りに挑戦しました。
 第11ステージは、そうめん流し、河川プール、肝だめしと楽しいことづくしのステージでした。炎天下の下で食べた冷たく冷えたそうめんは格別に美味しかったですね。腹ごしらえがすんだら、次は河川プールで思いっきり遊びましたね。最後は自然塾名物の肝だめし。三人一組で万歳寺までの暗い道を提灯一つで歩いていきました。みんな体を寄せ合い、周りに警戒しながら歩いていました。
自然塾名物「九千部山(848m)登山」。チームの仲間と協力して九千部山の頂上を目指します。途中休憩で立ち寄った萬歳寺分岐(通称りんご峠)では、おやつのりんごを丸かじり。それまで急な坂を登り続けてきた体に水分と栄養を補給します。なぜか、このリンゴ峠でリンゴを食べると、不思議と元気が出てくるのです。山頂で食べた弁当も美味しかったですね。この日は天気が悪く少し寒かったですがみんなよく頑張って登りました。展望台からは福岡ドームもきれいに見えましたね。
■ 第3シーズン
 第13ステージ〜第18ステージ(9/14〜11/25)
 お世話になっている塾舎、万歳寺を中心に清掃ボランティアを行いました。万歳寺の境内や駐車場をはわいたり、除草したりし日頃の感謝を行動で表しました。自然塾は河内地区のみなさんの協力のもと成り立っています。感謝の気持ちを忘れず持ち続けて欲しいと思います。 
 
 清掃ボランティアの後は、塾の道具の手入れを行いました。今まで使ってきた、鍬、鎌、草刈り鎌などを研ぎ、収穫物を入れるコンテナ、農機具をきれいに洗いました。道具に対する感謝の気持ちも忘れず、大切に扱って下さい。
「米一粒は、汗一粒」。5月から大事に育ててきた稲は、見事に稲穂をつけ、収穫の時を迎えました。水の管理から田の草まぜ、追肥等、「米」という字の通り、八十八もの手間隙をかけて育ててきたかいがありました。稲を刈り、結束をし穂さ架けまで行いました。美味しいお米が食べられるまであと少しです。楽しみですね!
  杓子ヶ峰登山。あのきれいな朝日を見るために、朝早くから起きて、杓子ヶ峰を目指し出発しました。
 しかし、残念なことに空はあいにくの曇り空で、日の出を見ることはできませんでした。しかし、少しの間だけ雲の隙間から太陽が顔を出したので、我々の生命の源である太陽に感謝の気持ちを込め合掌をしました。
 
 地元鳥栖市から講師の方を招いての野鳥の観察。レンズを通して見える鳥の生態はとても面白いものでした。

千歯こき

足踏み脱穀機

コンバイン

唐箕選
 2週間掛け干しした稲は、いよいよ脱穀して更に乾燥させ、精米へと進んでいきます。昔の道具(千歯こぎ、足踏み脱穀機)を使って、稲穂を外していきます。それを唐箕(とうみ)にかけて、良いもみと悪いもみに分けていきます。最後に現代の機械コンバイン(稲刈り、脱穀、選別)を使って昔の人々が知恵を絞って編み出してきた道具の移り変わりも学ぶことができました。
 最後のステージでは、餅つきをしました。自分達が育てたもち米(ヒヨクモチ)を使って、力を合わせて餅をつきます。力いっぱいついた餅は、とてもやわらかく、お昼ではきなこもち、あんこもち、大根おろしの辛みもちにして、みんなで食べました。最後のステージにふさわしく、めでたいプログラムとなりました。
 最後のステ−ジとなった18ステージの夜は、夜の集いと題し各チームの出し物、キャンドルの集いを行いました。各チームの出し物では、劇や組み体操、マジックなどをし盛り上がりました。キャンドルの集いでは、お兄ちゃんに火をもらい、一人ずつ思い出を発表し、全員が発表し終えたところで「Smile Again」を歌いました。歌いながら涙を流している塾生が多くいました。その日の夜は、みんなとの別れを惜しみ夜遅くまで起きて最後の夜を楽しみました。
 
 みんなが過ごした9ヶ月間の思い出は、今もその胸に焼き付いています。9ヶ月間本当にありがとう!