女子第2期生 活動の記録
平成16年度女子第2期生(2004年 3月〜12月)の9ヶ月にわたる活動の記録をまとめてみました。

 仲間と暮らした9ヶ月間の思い出をふりかえりながら、3シーズンに分けた、全18ステージをご覧下さい。
■ 第1シーズン 
第1ステージ〜第6ステージ(3/26〜6/13)
 「はじめまして!」各チームのメンバーが紹介されました。これから9ヶ月間、寝食を共にしていく仲間達。

 色々な経験をしながら、笑いあったり、喧嘩したり、きっと人生の思い出に残るドラマが待っているはずです。

 さあ!塾生活のはじまりはじまり!!
 さあ、まず最初のチーム活動。チーム農園の作付け計画です。前作と後作を仲間と話し合って決めていくのですが、6人ともそれぞれの思いがある模様。

 互いに意見を述べ合いながら、10種目前後の野菜が決定していきます。
 初めての農業体験。腰が痛い!あーきついよー!

大地に鍬を打ち込む作業は、思った以上に重労働。

 泣きそうな顔をしてスタッフを見ても、スタッフは何も手伝ってはくれません。

 そう、ここは自然塾。自分の体で考え、行動を起こしていかなくては、前に進む事なんてできないところなのだから。
 私たち日本人の主食である、お米作りの作業が始まりました。まずは、水稲塩水選、温湯消毒。

 硫安を溶かした水溶液に、種もみを入れ、水面に浮いた発育の悪い種もみを取りのぞきます。続いて、丈夫な種もみを57℃の温湯につけ、殺菌。

 一つ一つの作業が細やかで、地道なものばかりです。
 塩水選、温湯消毒をしてから、2週間が経ちました。
いよいよ、もみを発芽させていくために、播種をしていきます。隙間がないように、丁寧に一粒ずつ播いて行きます。「米一粒は、汗一粒」

 普段、当たり前のように食卓に並んでくるごはんは、こうして作られていくのです。
 さあ、いよいよ完成しました。チーム農園作付け計画。各チーム、それぞれ他のチームにはない作物を2種類ずつ入れているようです。

 発表の際には、スタッフや他のチームの塾生から質問が飛ぶなど、お互いの計画の見直しと、意見の交換が活発に行われた時間となりました。
 昨年の一期生が作ってくれた大豆を元に、今年使う味噌を仕込んでいるところです。

 粒が残らぬよう、なで杵でゴリゴリとすり潰す塾生諸君。

 日本伝統の発酵食品は、手間ひまかけて作られているのです。
 地元鳥栖市長さんと一緒にヤマメの放流を行いました。ヤマメはきれいな水の川にしか住まない魚です。今日放流したヤマメが、来年の今頃、どれだけこの大木川に戻ってくるのか楽しみですね。
 5月は新茶の季節。自然塾の近くにあるお茶の木から葉っぱを収穫し、大きな釜を使って、釜煎り茶を作りました。

 むしろの上で、正座をしながら、みんなでおいしいお茶になれと願いながら、茶っぱもみに懸命に取り組みます。
 「初めて日の出を見ました」そう言葉にする塾生が多かったように思います。東の空に太陽が昇った瞬間、それまで仲間との話し声もピタッと止み、じっと太陽がその全貌を見せるまで、ただただ、見とれているばかりでした。その後、全員で朝のごあいさつ。「おはようございます!!」

 杓子ヶ峰には、元気いっぱいの塾生の声がこだましました。
 自然塾の水田に大きな歓声が響き渡ります!
そう、今日は待ちに待ったガタリンピック!チームを離れ、紅白で戦います!相手のハチマキを奪い取った者が勝者となるこのルール。優勝チームには、この後のおやつが増量する特典が付いてきます。また、チーム対抗競技(二人三脚・ガタスキーレース)で優勝したチームには、夕食にデザートがもれなくついてくる、デザートチケットを用意。賞品がかかると、塾生みんな燃えてきます!!
 昨日の白熱したガタリンピックから一夜明けた、今日は、田植え。この田んぼで塾生みんなで暴れまわったおかげで、良い代かきとなりました。

 女子では、もち米(ヒデコモチ)を植えます。田植え綱を使って、リズムよく苗を植えていくこの作業。腰が次第に痛くなりますが、最後まで丁寧に植えることができました。
 入塾して3ヵ月目。チームミーティングの時間です。チームのシンボル作りをしました。それぞれのチームで、人と関わる時に大切にしていることを上の写真のように、手のひらに書き込み、この6人で姉妹関係をいつまでも大切にしていこうとお互いの気持ちの確認をしあいました。一人一人の思いを見える形にしたことで、メンバー一人一人が大切にしていることが明確になり、チーム内でなにかトラブルが起こっても、これを見ながら話をすると、自分達の原点に戻りやすい効果を得る事ができました。
収穫祭
 
 共同農園で、第1ステージから塾生みんなで植えた野菜たちが収穫の時期を迎えました。どの野菜もみんなたくましく育ってくれて、塾生一同みんな感激しています。共同農園で、全員集合し、この野菜を育ててくれた大地に感謝の言葉を送りました。

 「命を育んでくれた自然と大地。ありがとうございました!!」
 「あ〜!リーダー、美味しそうなコロッケ!」
「そうやろ!?私たちみんなで、一生懸命作ったんだから、おいしくいただかないとね!!」

 収穫祭で感謝を捧げた後は、みんなでその労を労ってコロッケをつくってお祝いです。

 形を工夫してみたり、具材を変えてみたり。チームそれぞれで個性豊かなコロッケに仕上がりました。
 自然塾周辺のゴミ拾いも積極的に行います。

空き缶、弁当ガラ、ペットボトルに家庭ごみ。道端を歩いていると、草の間に落ちているゴミがたくさん発見できます。

 自分達で拾うことによって、自然を汚してはいけないという意識が芽生えていくきっかけとなることを願っています。
■ 第2シーズン 
第7ステージ〜第12ステージ(6/25〜9/12)
 稲に新鮮な酸素と栄養を施す作業、株かき。自分達が任された列の稲株のまわりを、腰をかがめて土をかいていきます。

 雨の中でしたが、カッパを着て作業を最後までやり遂げました。
 夏の風物詩、肝だめし。3人1組で、ちょうちん片手に闇夜に繰り出していきます。ドサッと物が落ちてきたり、おばけに追いかけられたり・・・。

 河内の自然の中には、女子塾生の悲鳴だけがこだましていました・・・。

 あ〜、うらめしや〜。
地元鳥栖市の菊作りの名人(緒方キク子氏)を講師に招いて、菊作りにチャレンジ!

 細かい作業を懇切、丁寧に教えていただき、塾生も感激。

 人生の先輩の技は、やっぱりすごかったなあ。
 

でっかいよ〜!!

うまかったな〜!!
 「やったー!収穫できたよー!大きなスイカ!!」みんなで育てた共同農園の大玉スイカ。スイカはみんなの大好物。上の写真を見ても分かるように、スタッフの顔よりもデカイ!また、ミニトマトなどの夏野菜も収穫ラッシュに入り、作業の合間のおやつとして、たくさん食べることができました。塾生の中には、一度に60個以上食べた塾生もおり、そのおいしさをみんなで分かち合った瞬間でした。
 親子大会開催!自然塾での生活もちょうど折り返しを迎えたところ。今日は、日頃の塾生の様子を保護者の方々にも見ていただこうと親子交流プログラムを企画しました。
 早速今日の夕食、「肉じゃが作り」をしているところ。
娘の包丁さばきに思わず「指導」が入ってしまいます。
 親子大会二日目。地元河内町の河内ダムで森林フェスタが開催。親子で競技に参加し、お互いの交流を図ることができました。

 間伐そりレース。イカダこぎ。丸太切り競争。どの競技もフルパワーで参加。楽しい思い出となりました。
 第1期生が自然塾に寄贈してくれたドーム型テント5張。
 今晩は、このテントで塾生全員チームごとに宿泊です。

 塾生室と違って、本格的に野外での宿泊だから、自ずとテンションも上がり気味。

 夜遅くまで、仲間と語り合ったようです。
 いよいよチーム農園では、後作の播種が始まりました。白菜にホウレンソウ、レタス、大根。前作で学んだ畑作りのノウハウを活かして、作業分担しながらテキパキと仕事をさばいていきます。入塾当初と比べても、動きが本当によくなりました。すごいぞ!諸君!!
萬歳寺の和尚さんの元へ出向いての坐禅会。事前に、禅の組み方や目線の置き方を練習していたから、本番でもスーッと精神集中に持っていくことができました。警策も自主的にいただき、気持ちに緊張感を持てた様子の塾生諸君。塾生活後半も、張り切っていこう!!
 塾の活動も楽しいけど、束の間の自由時間はもっと楽しい。竹馬で遊んだり、おやつを食べながら大声で笑ったり。おおいに笑い、おおいに遊べ!!
 ボランティアの久保さんに、小刀の使い方を教わりました。正しい使い方をきちんと身につけておけば、怪我をすることもないし、自分で道具だって作る事ができる。

 頭を使い、手を使って、道具や玩具を作り出してきた人間の知恵は、本当にすごいんだ。
■ 第3シーズン 
第13ステージ〜第18ステージ(9/24〜12/5)
 みんなで、丹精込めてつくってきたもち米が収穫適期を迎えました。鎌を一人一本ずつ持ち、手際よく刈っていきます。このもち米は第18ステージで餅つきにしてみんなでいただく予定にしています。
 しかし、みんな4、5回稲刈りをやっただけでコツを掴んでサッサと結束まで持っていく。覚えが早い!
 夜、焚き火をして夜なべ談義をしました。塾生一人一人が今まで生活をしてきて感じた事、うれしかった、悲しかったこと。何でも語り合う時間です。

 話しながら涙を浮かべる塾生もみられ、それぞれのチームで、それぞれの時を過ごす事ができました。
 自然塾名物「九千部山登山」このステージでは、自然塾関東からのスタッフも見学に訪れ、塾生と一緒に登山をすることとなりました。河内別れ(通称:リンゴ峠)では、持参したリンゴを丸ごと一個丸かじり。一気に坂を登り終えた後、ここでリンゴを丸かじりすると、疲れが吹っ飛んで元気になることから、命名された休憩ポイント。
塾生みな、おいしそうに食べました。
 スタートから、2時間半。雨の中でも元気に昼食。登り終えた達成感からか、お弁当を食べる塾生の顔には笑顔が絶えません。よくがんばったぞ!
 前ステージで掛け干ししておいた稲を脱穀します。この作業では、千歯こぎ、足踏み脱穀機、コンバインと機械の発展に合わせて、それぞれの機械で脱穀体験をしました。少ない仕事量で、大きく効率を上げる。昔の人たちの英知の結集も合わせて学ぶ機会となりました。
 卒塾記念制作として、スーパー竹とんぼにチャレンジ。ボランティアの久保さんから、よく飛ぶコツを伝授されているようです。

 また、工具の使い方を丁寧に教えてもらったので、竹とんぼの羽の加工や、寸法を合わせたりする際にとても役立ちました。
 道具をうまく使いこなせるようになると、新しいアイデアで色々なおもちゃや便利な道具が生まれるようになりますね。
 農業の最終章、「鶏の解体」です。人間は、生きとし生けるもの全てから、命をいただき、今日まで生かされていることを学びました。普段、当たり前のように、鳥の唐揚げやチキンナゲット、あるいは、ハンバーグ、オムレツなど、現代の食事は多様化し、また、お金さえ払えば何でも手に入る時代となりました。そんな中、命の尊さや、人間は他の生き物の命をいただくことでしか生きていくことができない動物であるという認識を得る機会がなくなり、悲しい事件が頻発している世の中とも言えます。この鶏の生死を通して、命は、一度失ってしまったら二度と戻ってはこない、命は大切にしていかなければという認識が生まれたようです。
 この日の夕食は、解体した鶏を唐揚げ、筑前煮にして残さずいただきました。
 また、翌日の昼食には鶏ガラダシをとり、ラーメンまで作っていただきました。
 そして、「いただきます」「ごちそうさま」の真の意味を知る機会となったのでした。
 挿し木から携わってきた菊の世話。最初小さかった菊の芽は、左の写真のとおり、こんなに大きく育ちました。

 塾生一人一人、愛情込めて育てた菊の花。花に話しかけたり、毎朝水をかけてあげたり。花が咲いたときに、それまでの過程が大変だったけれども、喜びに変わる瞬間となったのでした。

 みんな、自分が育てた菊を誇らしげに眺めていました。
 卒塾式まで、あと2週間。当日発表するふりかえりの言葉の練習にも熱が入ります。スタッフに聞いてもらってアドバイスを受けたり、仲間同士で聞きあったり、本番を想定しての練習を時間いっぱい行いました。
 塾生自身の手で育てたもち米を、今日は餅にしてお昼に頂きます。地元河内町の方々も応援にかけつけて下さり、餅の蒸し方、餅のちぎり方や丸め方、つき方のコツを体験をしながら教えてくださいました。

 長年の経験から、餅はつくだけでなく、蒸かす、ちぎる、丸める、といったそれぞれのポジションがいい仕事をしていかないと美味しいお餅にはならないんだよとアドバイスを受けました。

 きな粉餅、大根おろしのからみ餅、あんこ餅、砂糖醤油をつけたりして、お昼にいただきました。

 9ヶ月間お世話になった、塾舎を大掃除。網戸から、塾生室の机、研修室の床など、自分達が使用した全ての備品、設備をきれいに掃除しました。

 チームを超えて、共同で作業する場面が多々あり、みんな一生懸命になってお掃除に取り組みました。
 チーム農園の閉園式です。最後の収穫物を取り終え、畑をきれいに整地しました。塾に来て、一番夢中になったチーム農園。整地をしながら、「土を持って帰ろうかな」とつぶやく塾生の姿も・・・。

 最後は、塾頭にチーム農園の看板を返還して、無事に閉園を迎えました。

 今まで本当によくがんばったね!!
 チームのみんなと過ごす最後の夜は、部屋の明かりを消して、ろうそく一本だけでお互いの思い出を語り合います。

 楽しかったこと、嬉しかったこと、きつかったこと、辛かったこと。今となっては、どれも良い思い出。

 笑いあいながら、楽しい夜の時間は、過ぎてゆくのでした。

 塾生諸君!9ヶ月間、本当によくがんばたね!!