2003年3月から11月まで、第一期塾生(男子30名)が過ごした活動の記録です。



 ■ 第1シーズン (第1ステージ〜第6ステージ)  :3月29日〜6月8日
    
    
 3月29日、いよいよ第一期塾生の活動が始まりました!期待と不安の入り混じる中、入塾式を終えると、
これから8ヶ月間過ごす仲間との楽しいウェルカムパーティ♪
仲間作りゲームや家族対抗のレクレーションなど、にぎやかなひとときでした。

      記念すべき初の農作業は、ジャガイモの植え付け
です。タネイモを切り、断面に草木灰をつけて、肥料
をまいた穴の中に、タネイモを置いていきます。
鍬(くわ)を使って土をかぶせる作業では、慣れない
手つきで一生懸命がんばりました。


 8ヶ月間、チーム農園で何を育てていくのか
作付け計画を立案中。
スタッフの手を借りず、自分達で管理していく
チーム農園だけに、メンバー一人一人が責任
重大です!
参考書を机いっぱいに広げ、「あぁでもない」
「こうでもない」と話し合いながら、リーダーを
中心に見事な発表ができました。
      


          
 自然塾では、種まきから収穫までの『稲の一生』を体験しますが、今回はその第一歩。比重計を用いて
「種もみの比重選」を行いました。塩水選温湯消毒によって、充実した種もみを選び、病気の発生を
最小限に抑えます。
そして、厳選した種もみを苗箱に播いていきました。水をたっぷりかけた培土に、隙間なく種もみを播く
のは、なかなかテクニックがいります。塾生の真剣な表情が伝わってくるようです。

 自然塾のある河内町について、もっと知って
もらおう!という目的で、フィールドビンゴゲー
ムを行いました。
広い河内町内を下りはバード橋、登りは万歳寺
までと、たっぷり2時間かけて探索しました。
途中のチェックポイントの中には、万歳寺の
和尚さんにサインをもらってきましょう!という
項目もあり、地域の方との交流も深めました。
     


      塾生とほぼ同時期に自然塾へやってきたヒヨコ達。
みんな興味津々の様子です。
手や頭にヒヨコを乗せたりと、思い思いに遊び、かわ
いがっているようですね☆


 土曜日の夕食のご飯は、毎回塾生に釜で
炊いてもらいます。
スタッフに習いながら、お米の研ぎ方や水加減、火加減などを身をもって覚えていきます。
この日も、見事な釜飯をみんなでおいしく頂き
ました!
     


      夏の収穫が待ち遠しいキュウリの苗に、あんどんを
被せている様子です。
風除けや虫が入ってくるのを防ぐために、河内町で
よく行っている方法だそうです。
大きく、そして丈夫に育ってくれよ!野菜たち!!


 朝日を見るために、みんなで早朝登山をしま
した。真っ暗な河内の山の中を、懐中電灯片手
に歩きます。
目的地の杓子ケ峰山頂に到着すると、午前5時30分・・・山の陰から朝日が顔を出します。
あまりの美しさに、しばらくの間黙って見入って
しまいました。
この壮大な朝日を前に、塾生達は何を思う・・・。
     


          
 塾舎から10分ほど歩いた茶畑で、茶摘を体験しました。黄緑色がきれいな新芽の茶葉を地道に手で
摘んでいきます。夜には、収穫した茶葉を釜で煎って、ござの上で水分が出るまでゴリゴリ揉む、揉む、揉む
・・・の繰り返し。
普段、何気なく飲んでるお茶も実際に作ってみると、ずいぶん手間がかかってるんだって、わかったよね。

      自然塾のある河内町出身の鳥栖市前市長 山下
英雄さんが、ご自身の少年時代の書道や絵画の
作品を手に、お話をしてくださいました。
とても小学生とは思えない、堂々とした字で書かれ
た習字や美しい絵に、塾生達もビックリ!!


          
 田植え前の代かきを兼ねて、第1回 市村自然塾ガタリンピックが開催されました!
尻相撲に騎馬戦、綱引き、ガタスキーといった種目を、みんなで泥んこになりながら競い合います。
最初は、恐る恐る足を入れていた塾生達も、しまいにはスタッフを道連れに飛び込む始末。
小学生も中学生も大人も関係なく、みんなが童心に返った瞬間でした。

 夜の帳が下り、山の中に不穏な空気が漂い
始めます・・・。さぁ、提灯を片手にいざ
恐怖の世界へ・・・。


 のはずが・・・みんな、ちゃっかりグループで
固まってしまい、いつの間にか団体行動。
これじゃぁ、ちっとも怖くないはずだ!
塾生の作戦勝ち、といったところでしょうか?
     


       「秋においしいお米を収穫できるかどうかは、
みんなの手にかかってるぞ〜」
スタッフのかけ声で、田植えをする塾生の身も引き
締まります。
手際よく植える塾生もいれば、泥に足を取られる
塾生もいたりと、にぎやかな田植え風景でした。


           
 入塾した時に植えたジャガイモを収穫できる日がやってきました!ジャガイモに傷をつけないように、
畝の真横から三又を入れて掘り起こしていきます。
そして、掘りたて新鮮なジャガイモを使って、ジャガイモ料理大会も行いました。
チームごとに、個性溢れるコロッケやポテトサラダがおいしくできました♪

 ホタルの観察ということで、長年鳥栖市内でホ
タルの幼虫の放流活動をされている方に、ボランティアとして来て頂きました。
自然塾周辺でも、年々ホタルの数が減る傾向にある中、一人一人が環境問題などと向き合う必要性を塾生に訴えられました。
 そして、実際に川辺で飛び交うホタルを見た
塾生たちは、大興奮!!その繊細な光に酔い
しれました。
     


  ■ 第2シーズン (第7ステージ〜第12ステージ)  :6月20日〜9月7日
       6月の梅雨入り前後、サツマイモの植え付けを
しました。畝6つ分の苗を植えるのは、結構大変
です。
でも、株間を計る人、穴を掘る人、苗を置く人、植え
る人と、役割分担を明確にし、効率よく作業する
ことができました。


 ステージごとに交代で、チームに食事当番の
役割が回ってきます。
食事の用意や配膳、後片付けと、きちんとこな
していきます。
みんなのご飯がかかっているだけに、真剣その
もの。愛情たっぷりのおいしいご飯を作ってね♪
     


           
 地元鳥栖市の味噌作り名人をお呼びしての、味噌作りを体験しました。
ほんのり温かな米麹をよく混ぜて、つぶした大豆と一緒に混ぜ合わせます。塾舎中に、茹でた大豆と
甘い麹の香りが充満しました。最後に、樽に入れて蓋をしたら、3ヶ月間は発酵させて味噌を完成させます。
そして3ヶ月後・・・みんなでおいしくみそ汁を食べたことは、言うまでもありません。

       早朝5時20分に起床して、自然塾の近くにある
万歳寺で座禅を行いました。
初めての座禅に、みんな緊張しました。
和尚さんから塾生全員に警策をして頂くと、身も心
もピシッと引き締まるようです。


 6月に田植えをした苗が、随分大きく育ちまし
た。もちろん、雑草も生えてきます。
そこで、昔ながらの手作業と、先人の知恵によ
って作られた田押し車を使っての作業となりまし
た。
昔の人たちってすごい労力をかけて米作りを
してたんですね。

     


       毎ステージ、ボランティアで自然塾の活動に参加
して下さっている久保さんに、竹笛作りの指導をし
て頂きました。
これが思っている以上に難しくて、なかなか音が
出ません。みんな必死になって、何度もチャレンジ
していました。
指導して下さった久保さん、ありがとございました。


           
 第10ステージに、塾生自らがイベントを企画・運営するプログラムドリームプロジェクトを行います。
チームの枠を超えて、同じ企画をする仲間とグループを作り、他のグループにアピールします。
下見に行ったり、小道具を作ったりと試行錯誤の末、本番当日には塾生の家族を交えて大盛り上がり
でした!

 第10ステージの親子合宿にあたり、塾生達は一晩テントで過ごします。
そのため、各チームでテントの設営を行いました。日差しが強い中での作業だったため、作業を放棄する塾生もちらほら・・・。
でも、自分達の寝床は自分達で確保してもらいます!
テント完成後は、格好の遊び場になったことは
言うまでもありません・・・。
     


            
 親子合宿2日目は、河内町で開催される森林フェスタに参加しました。
自然塾は、丸太切り競争や間伐そり競争、いかだレースの3種目にエントリー。
親も子もなく、白熱したレース展開となり、応援も自ずと力が入ります。健闘した塾生やご家族には、
様々な賞品があり、思い出と共によいお土産になりました。

           
 日頃の食事当番で学んだことを活かし、自分達で夕食を作る野外炊飯(カレー作り)を体験。
慣れない手つきながらも、失敗すれば夕食なし!という厳しい現実が待っているので、みんなかなり
真剣です。さて、出来上がったそのお味の方は・・・「う〜ん、デリシャス☆」
他のチームのカレーも試食し合い、お腹いっぱい食べました!

           
 第10ステージから第12ステージにかけて、陶芸を行いました。
北茂安町にある白石焼きの窯元の方に教えて頂きながら、皿やコップ、花瓶、置物など、みんな思い
思いの作品を作ります。細かな作業が続く中、塾生が楽しんで作業をしている姿が、とても印象的でした。
その後、おうちでみんな使ってるかな?

       チーム農園ではこの時期が一番の収穫ラッシュ!
100本以上のキュウリやピーマンが、毎ステージ
ごとに実ります。
収穫の喜びを感じながら、生命の恵みに感謝しま
しょう。


 チーム農園に負けず劣らず、共同農園でも
豊富な野菜たちが目を引きます。
オクラにピーマン、ナス、カボチャ、スイカ、トウモロコシ、モロヘイヤなど、夏場は朝食前の時間を利用して、涼しいうちに収穫作業を行いました。
     


       先人達の知恵のまさに代表格といえる縄ない
塾生に経験してもらいました。昔はこの結った縄で
わらじやむしろを編んで、生活に活かしていたそう
です。
でも、いざやってみると、うまくよりがかからずに
単なるねじり縄になっている塾生もちらほら・・・。
みんな初体験だっただけに、大変苦労して作りま
した。


 幅広い音楽の普及のため、日々ボランティア
で演奏活動をされている地元のアンサンブルの
みなさんが、塾生のために演奏を披露して下さ
いました。素晴らしい音色に、じっくりと耳を傾け
たり、演奏に合わせてみんなで合唱したりと、
音楽に浸りきった夜でした。

     


           
 真夏の日中にある農作業は、ひたすら忍耐です。でも、しっかり頑張った後はブレイクタイム♪
水分補給を兼ねたおやつで、スイカにありついた塾生は超ご機嫌!乾いた喉に広がるスイカの甘みは、
格別においしく感じるものです。
暑くてたまらなくなったら、塾舎のすぐ下を流れる大木川(だいきかわ)で川遊び。まるで河童のように
川の流れに身を任せ、体を冷やします。自然が豊かな場所でのみ楽しめる、最高の遊び場です。

       地元の高校生との交流を交えた、科学実験教室
がありました。
特殊なラインの上を走る車や相撲ロボット対決など
に、塾生はもう夢中!!
動くたびに大きな歓声が沸き上がっていました。



 ■ 第3シーズン (第13ステージ〜第18ステージ)  :9月19日〜11月30日
           
 台風接近のため天気が危ぶまれる中、九千部山登山を決行!標高848mある山頂を目指すには、
深い霧の中、険しい山道を登らなければなりません。幸い、塾生が下山するまで天気ももってくれて、
誰一人途中リタイアすることなく、みんなで記念撮影できました。

           
 第2ステージで種もみの選別を行い、播種して育ててきた稲をとうとう収穫できる日がやってきました!
たわわに実った稲穂を、手で刈っていきます。刈った稲はわらで結束し、乾燥させるために掛け干しします。
昔懐かしの光景が広がり、全体を見ると実に素晴らしい景観です。
一日も早くおいしい新米をみんなで食べたいね!

 秋も深まり、だんだん涼しくなってきました。
チーム農園のサトウキビに負けないくらい、
塾生の心も体も大きく成長しました!
追いつけ、追い越せで、もっともっとたくましく
育ってね。
     
    

     
            
 掛け干しした稲を、昔ながらの千歯こきや足踏み脱穀機を使って脱穀し、唐み選にかけます。
機械で脱穀するのと違って、手間も労力もかかるけれど、みんなの思い入れは強まるばかり。
いよいよ、新米が自然塾の食卓に並ぶ日も近いようです。

          
 第14ステージから卒塾記念制作の話し合いが始まり、議論の末、ベンチを作ることになりました。
3つのグループに分かれ、各々個性溢れるデザインや彫刻を施していきます。
制作時間だけでは作業が進まず、朝早起きして作るグループもいたりと、みんな立派な記念品を自然塾に
残そうと必死です。
最終的に第16ステージで見事に完成し、塾舎の中でひと際目立つ存在となりました。

            
 『収穫の秋』という名にふさわしい季節となり、第16ステージではサツマイモの収穫を行いました。
広大な畑の中に、一体どれだけのサツマイモが眠っているのか・・・?非常に楽しみです。
そして、四つ股ぐわを使っていざ掘り上げてみると、出てくる出てくるサツマイモ♪
4種類のサツマイモを植えていたので、畝ごとに特色の違うイモが出てきて、まるで宝探しのようでした。
このサツマイモは、おやつにふかしイモとして、おいしく頂きました!

          
 塾生に、「いただきます」の真髄を理解してもらうため、ニワトリの解体を行いました。
解体にあたっては、河内塾頭からどうして解体をするのかについての話がありました。
「人間は、他の生き物を犠牲にしてでしか生きることのできない動物である。野菜でも肉でも人間
以外の動物の命を頂いて、我々は命をつないでいるのだ。」

塾頭の言葉を胸に、塾生たちは緊張の面持ちで、静かにニワトリの命が尽きていくのを見守ります。
解体したニワトリは、その日の夕食に唐揚げと筑前煮になって食卓に並び、みんな「おいしい!」を連発
しながら食べていました。
「我々は、生きとし生けるものによって生かされている」
という言葉を、強く感じた活動でした。

 8ヶ月間お世話になった河内町へのご恩返し
にと、塾生がボランティア活動を行いました。
塾生も参加し賑わった、森林フェスタの会場
(河内ダムや市民の森)周辺を清掃します。
土には返らない金属やプラスティックなど、想像
以上のゴミの多さに、みんなビックリ!
ゴミ拾いを通して、「今自分達にできることって
何だろう?」と、環境について考えるいい時間と
なったようです。
     


           
 第17ステージで、もちつきを体験しました。最初はなかなかリズムが合わず、お互いのきねがぶつかっ
たりと、うまいようにつけません。しかし次第に慣れてくると、規則的なリズムに乗って、コシのあるおもち
がつけました。ついたおもちは、地元の方に指導して頂きながら、手際よく丸めていきます。
もちつきが終わったら、お待ちかねの試食タイム♪あんころ餅に黄な粉餅など、数種類のおもちを
みんなで味わって食べました!

            
 11月30日、とうとう卒塾式を迎えました。今まで2週間に一度会えた仲間と会えなくなるなんて、とても
信じられません。複雑な思いを胸に秘め、1人1人に末吉代表理事と河内塾頭から終了証と記念メダルが
手渡されました。
そして、塾生の保護者の方たちから自然塾への感謝の気持ちを込めて、テント5張とヤマモモの木2本が
贈呈され、昼食後に植樹を行いました。数年後にヤマモモの実がなり、数十年後にはその頃の塾生が
木登りをしている姿を想像しながら・・・。

       最後に、塾生とスタッフそろっての記念撮影を
しました。
8ヶ月間たくさんの思い出をありがとう!!